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752 名前:【SS】京介のパソコン[sage] 投稿日:2011/09/28(水) 18 42 50.89 ID Ayistvh/0 [9/13] 京介「ただいまっと」 桐乃「おかえり」 京介「・・・・・・なんでおまえが俺の部屋でパソコンしてんの?」 桐乃「今日はパソコン記念日だからあんたのパソコンチェックしてあげてるの」 京介「・・・・・・今始めたばかりだよな?」 桐乃「いじり始めてもう二時間経ってるよ。 あんたwindowsUpdateとかウィルスソフトの更新とか全然やってないじゃん。普通自動で更新されるのに」 京介(ホッ。普通にパソコンを見てくれただけか) 京介「ありがとうな、桐乃」 桐乃「どういたしまして。 ディスクのクリーンアップとか、エラーチェックもしといたよ。デフラグは時間かかるから後でね」 京介「何から何まですまないな」 桐乃「いいって。後で壊れたとか言ってあたしに泣きつかれたり、パソコン借りようとされても困るし。 ところでさ」 京介「なんだ?」 桐乃「最近はカリ○アン.コムとか見てないし、『眼鏡 かけたまま』とかあんまり調べてないんだね」 京介「やっぱりチェック済みかよぉぉ! なんで?おまえのパソコンじゃないんだから、調べる必要なくね?」 桐乃「あんたがパソコン持つようななったのは元はといえばあたしのせいだし、 そのせいであんたがヘンな趣味にはまってないか心配になっただけなの!」 京介(そうか、そうだよな。俺の性癖が気になったわけじゃないんだよな) 桐乃「・・・・・・ねぇ、最近調べてるのってあたし関係ばっかだよね」 京介「ナンノコトデスカ?」 桐乃「マイピクチャの『桐乃』フォルダの容量500M超えてるし。 これっていろんな掲示板とかから拾ってきたやつでしょ」 京介「ナンノコトデスカー」 桐乃「『あやせ』フォルダは『お気に入り』と『その他』しかないのに、 『桐乃』フォルダは20個に分けられてるし」 京介「ナンノコトデスカー!」 桐乃「・・・・・・検索履歴は『妹 仲良くなり方』とか『妹 デート』とか『妹 添い寝』とか『妹 混浴』ばっかだし」 京介「ナンノコトデスカー!!」 桐乃「そ、それに!MyDocumentの『あた兄』フォルダを見たんだけどさ・・・・・・」 京介「ナニ?ナンノヘンテツモナイSSダヨ?」 桐乃「うん。確かに兄×妹のなんの変哲もないSSだよ? ・・・・・・あんたが『霧乃』スレにSS投下してたのは驚いたけど。 しかも、あたしがあんたに『メッチャらぶらぶないい話だから読んだほうがいいよ』って勧めたのもあるし。 それについても問い詰めたいんだけど、その前に一つ聞いておきたくて・・・・・・」 京介「な、なんだ?」 桐乃「どうしてSSのキャラ名が『霧乃』と『恭介』のファイルと、『桐乃』と『京介』のファイルがあるの?」 京介「それはだな、ほら、読み方が同じだから変換する時に間違えると面倒だろ? だからまず『桐乃』と『京介』で書いてだな、その後一括置換してるんだよ」 桐乃「それなら別名ファイルで保存しておく必要なくない?」 京介「推敲前の文章を残しておきたかったというか、なんというか・・・・・・」 桐乃「もしかしてあんた、あたしとこのSSみたいなことすることを妄想して書いてたの? その・・・・・・あたしとお芋を二人で分け合ったり、一緒にショッピング行ったり、口移しでご飯食べたり・・・・・・一緒にお風呂入って一 緒に寝たり、とか」 京介「そそそそそそんなはずねえだろ?」 桐乃「・・・・・・」ジー 京介「・・・・・・ちょっとくらいは」ボソ 桐乃「・・・・・・まじキモいんだけど」 京介「うるせぇ!兄貴ってのは妹と仲良くなりたがるモンなんだよ!」 桐乃「はぁ・・・・・・じゃあ今度一緒にショッピング行ってあげるね」 京介「え?」 桐乃「ほら、実際に体験すればあんたのSSの質も良くなるでしょ? ・・・・・・一応、楽しみにしてるんだからさ」 京介「そ、そうだな!桐乃と実際にデートできたらもっとラブラブなSSが書けるようになるだろうな!」 桐乃「そういうことだから、ちゃんと週末はあけといてよね」 京介「おう!」 桐乃(やった♪ 京介とデートすれば、あたし書いてるのSSも、もっとラブラブイチャイチャなものになるよね!) -------------
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855 :名無しさん@お腹いっぱい。:2016/07/26(火) 00 23 55.78 ID vChfHUzW0 SS『等身大』※京・桐・あ・加 「そうだ、加奈子、あやせ、そんなら俺の家に来るか?」 そう、お兄さんに言われてまんまとお兄さんの家に行くことになってしまったのは、高校最後の夏休みでした。 大学進学にあたって、わたしは、地元から離れた大学を受験しようと考えていたのです。 わたしにとって、親元を離れての初めての生活。 そんな生活に少しの不安を抱くのも仕方ないじゃないですか。 「あやせがぁ、一人暮らしねぇー・・・つーか、あの過保護な親がよく許したよなぁー?」 「ええ。母はまだ反対していますけど、父は、一度社会を見ておくことも大事だって」 「いいなぁー。一人暮らしとか憧れるんですけどぉー。加奈子もぉ、してみたいんですケドぉ」 「加奈子・・・。一人でちゃんと生活できるの?」 「はあ!?加奈子だって、料理や洗濯くらい出来るようになったっつーの!」 冗談で言ったんですから、キレなくても良いでしょうに。 「まあ、俺だって、色々出来るようになったくらいだしなあ」 ある意味似た者同士ですね、あなた達。 そんな話をしているうちに、ほどなく目的地に到着しました。 「―――着いたぜ。ここが俺の家」 少し古ぼけた外壁に、カバーの変色した蛍光灯、ここだけは物々しささえ感じるエントランスの防犯設備。 現在のお兄さんの自宅は、ここまで歩いてくる間にもいくつも見たような、5階建てのマンションでした。 飾りっけの一つも無く、とても貧相なマンションですけれども、普通の大学生の住居はこんな感じなのでしょうか? いえ、桐乃から聞いた話だと2部屋あるそうなので、これでも並の大学生よりは良い住居なのでしょうね。 暗証番号を入力して、階段で3階へ。 階段を登って右手に3つ目の部屋がお兄さんの部屋でした。 「・・・・・・なー、あやせ。ちょっとヘボくね?」 「・・・ちょっとだけ、ちょっとだけ、ね」 加奈子はお姉さんと、もっとちゃんとした綺麗なマンションに住んでいますし、 沙織さんのマンションも、豪華というほどではないですけど、十分に綺麗でしたし、 私の自宅も・・・その・・・近所の人からは豪邸なんて言われているみたいですし・・・ 「―――さ、入って、入って」 入りました。 視界の真ん中に、等身大のお人形さん(可能な限り温和な表現にしたつもりです)が飾られてました。 「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああ!?」 「・・・なんですかコレは・・・」 玄関で度肝を抜かれ絶叫する加奈子。 そんなわたし達を尻目に、お兄さんはきょとんと首をかしげ、 「桐乃・・・かな?」 「んなものは見りゃわかんだろーがよぉ!?」 げしっ。無言で脇腹に痛めの蹴りを入れるわたし。 「お兄さん・・・コレは、なんですか・・・」 実の妹と結婚してしまう変態鬼畜お兄様に対しては愚問かもしれませんが聞いてみますと、お兄さんは脇腹を押さえてのたうちながら、 「い、いや、だって可愛いだろ?俺はただ、この造形と質感と触感が素晴らしいなあと思って、○リエント工業に注文しただけなんだけど。 ・・・・・・そっ、それに、桐乃が居なくても寂しくないしね?」 「・・・・・・・・・」 ウソか本当か判断に困ります。えっちな目的以外でこのお人形さんを買う人間が果たして存在するのか否か。 お兄さんが『普通の』お兄さんでないことが、お兄さんの主張の説得力を大きく上げています。 「あやせってば何黙ってんだよぉ!こんなすっとぼけた言い訳がとおるわきゃねーだろぉ?こいつゼッタイ使ってるって!」 「わたしだって、普通ならそう考えます。でも、この変態鬼畜お兄さんは、実の妹じゃないと愛せない変態なんですよ!」 「まぁそーだわなー。コレも桐乃だもんなぁ」 「勝手に自分で納得しないでください!というかコレと桐乃を一緒にしないで下さい!!」 わたしは件のお人形さんをビシリと指差します。 「そうだな、ドールは本物の足元にも及ばないからな」 「お兄さんは黙っていて下さい!!!」 わたしの親友とお人形さんを比較するなんて、なんて非常識な人達なんでしょう! 「はは、さて―――玄関でいきなり素敵なリアクションを貰っちゃったけど、お客さんをいつまでも立たせておくわけにはいかないからな。上がれよ」 「「・・・・・・・・・」」 わたしは加奈子と顔を見合わせ、アイコンタクトを試みました。 (おい、どうするよぉあやせ・・・?次、何が飛び出すか分かったモンじゃねーよぉ) (さすがに招待までしてもらって、『さようなら』というわけにも行かないでしょう?) (・・・おめー、昔に比べてずいぶんと神経ふとくなったよな?) だいたいこんな感じです。 「「お、お邪魔します」」 おずおずと上がらせてもらうわたしと加奈子。 玄関はそのままキッチンになっており、意外にも綺麗に整理されて(しかも日常的に使ってる様子すら)見えました。 その先には扉が3つ。手前の一つはユニットバスでしょうから、残りがお兄さんの勉強部屋と寝室でしょうか? お兄さんは奥側左の扉を開き、わたし達に笑いかけました。 「こっちだ、どうぞ」 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 率直な感想を漏らすわたし達。 通された先は寝室(?)でした。 問題は・・・ ・・・ ・・・ いえ、先送りにするのは止めましょう。 問題は・・・その・・・まず目に飛び込むのは、部屋一面に貼られた・・・その・・・比喩的に言えば、ピンク色のポスター。 壁面には、縦長のガラスショーケース。もちろん中には、その・・・あられもない姿をした女の子のお人形。 部屋中に配置されたカラーボックスには、多分、全部えっちなゲームの箱・・・ 「おい、きょーすけ」 「どうした、加奈子」 「んな『ある意味』スゲェ部屋が一人暮らしの参考になるかっての!」 キモすぎます。一般の大学生の住める部屋じゃありません。 「そうか?家賃だって都心近くにしちゃ安いほうだぞ?」 「そこが問題じゃねーんだよぉ!!!・・・ちなみに、いくら?」 「ここの家賃?えーと、確か・・・全部入れて5万2千円だったかな?」 仕事の収入を考えれば、仕送りがなくても何とかなる家賃ですね。 「むぅ・・・加奈子の給料でもなんとかなるかなぁ?」 加奈子の収入なら、ここの5倍高くても大丈夫ですよ。 まあ、加奈子にはナイショで9割までは貯金させてますけどね。 「まーせっかくだしぃ、見ていこーぜ、あやせ。他にもヘンなモンあるかもしれねーしぃ」 前向きですね。加奈子は部屋を見渡して、 「へー、きょーすけベッド派なんだ」 好奇心旺盛にベッド(もちろん、ピンクの髪の女の子がプリントされています)に近づくと―――金髪の女性が寝転んでいました。 「うへぇ」 「・・・・・・・・・・・・」 驚いて声を上げる加奈子。 さっきの位置からでも見える位置でしたけど、あまりの部屋の様子に、その女性に気が付かなかったのです。 「おにーちゃん?おはよぉ」 気だるそうな声。 「えっと・・・・・・・・・」 言葉に詰まったわたし達に代わり、お兄さんが寄ってきて、こう言いました。 「ああ、桐乃。昨日は疲れたろ?もうちょっと寝てても良かったんだぞ」 金髪の女性・・・お兄さんの実の妹・・・わたしの親友、桐乃です・・・ 「おなかすいたぁ。あーんして」 「よしわかった!すぐ作ってくるからな!待ってろ!」 というか、何ですか、このお兄さんに甘えきっている妹は!? 「てゆーかー、そこに誰かいr・・・・・・・・・・あやせ!?」 「・・・・・・・・・」 わたしと加奈子の姿を認め、慌てる桐乃。 ああ、こういうときは、決まって・・・・・・・・・ 「ち、ちがうの!昨日は京介が激しすぎて、ちょっと疲れただけなの!あーんしてとか時々しか言わないし! っていうかいつもはあたしがあーんしてあげてるっていうか、お料理も二人の共同作業だし、ときどき京介が我慢できなくなって食べられない日もあるし、 そっ、そもそもときどきは家にちゃんと帰ってるし!洗濯物だって一日一枚しか盗んでないし!お風呂も一緒だし!!!」 桐乃は、なおも何かわめき続けていますけど、わたしのするべきことは決まっています。 『うへぇ』以外の言葉を忘れてしまった加奈子を地面に埋め、お兄さんに向かって、(やや引きつった)満面の笑みで、こう、言うのです。 「お兄さん、ブチ殺しますよ♪」 End. ----------
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474 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/08(土) 15 25 46 ID 1MHvTRg90 [3/3] 「眠れん・・・」 冬は眠りやすい。冬山登山してる人たちがよく言ってる寝るな!寝たら死ぬぞ!なアレである。 まあ死ぬことは無いが、とりあえず寒くなると人間も寝やすい。 だが、今日はなぜか目が覚めた。午前3時付近だ。 「昼にコーヒー飲みすぎたからか・・・?」 赤城に煽られてブラックのコーヒーを一気飲み。吐くのはこらえたが、やはり苦いものは苦い。 そのときのカフェインが体に起きろと働いているに違いない。いくら寝ようと思っても眠れる気配がない。 「困ったなぁ。」 天井を見上げてつぶやく。最近ごたごたが続き、忙しくうるさい毎日だったので、 なんだかこの静けさが心地よ――。 「あんたァ!どういうシコウ回路してんのよ!そんな中二病末期な頭だからメルルの良さがこれっぽっちも!」 ――くねぇ!シコウが思考か嗜好かどっちかは知らねぇが、 こいつ、何時に電話してんだよ!しかも大声で!電話される身にもなれってんだ! 「ハァ?あんたバカ?そこは空気読むべきでしょ!?」 お前がバカだろ!お前が空気読めよ! 「これだから邪気眼中二病女は・・・。」 どっちのセリフだよ。 静寂を破って隣の壁から妹の怒号が聞こえる。 寝させてくれ!頼む、カフェインさん!この通り土下座しますから! 「なんで・・・お兄ちゃん・・・わたしに構ってくれないの・・・」 こいつ・・・電話でヒートアップさせてたと思ったらいきなりエロゲ始めたぞ。 「お兄ちゃん・・・もっと・・・わたしのこと見てよ・・・」 深夜だからといって大音量でエロゲとか何考えてんだ! 「こんなに好きなのに・・・なんでお兄ちゃんはわたしのこと・・・」 クソッ、明日は徹底的に問い詰めなければならんな・・・。 「おい、お前大声で電話するなよ!」 「うわキモッ!部屋が隣だからって盗聴してんの!?マジうざいんですけど~」 「時間を考えやがれ!なに3時に電話かけてんだよ!」 そう言うと、妹はきょとんとした顔で、 「3時?3時なんか寝てたから意識ないわよ!あんたついに幻聴も聞こえてきたわけ?病院行けば?」 寝てた!?こいつ今そう言ったよな?しかも包み隠さずに。 こいつが嘘をいうときは大抵バレる嘘をつく。つまりこの発言は真実だ。 ってことは・・・? 「俺も疲れてるんだろな。エロゲのしすぎでエロゲの幻聴が聞こえてら」 もしくは妹幽霊がこんにちはした、としか言いようが無いな。 もういいや。今回のことは水に流そう。ははは・・・。 (あいつ・・・なんでわたしの夢のこと知ってんの?) -------------
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812 名前:【SS】だっこ[sage] 投稿日:2011/08/21(日) 00 57 30.34 ID foFswZqh0 【SS】「だっこ」 あ~あ……、なんか桐乃と顔を合わせづれーな……。 図書館からの帰り道、そんなことを考えながら家へと向かう。 詳細は省かせてもらうが、俺はこの間、あろうことか桐乃を“お姫様だっこ”してしまったのだ。 あれを、お姫様だっこと呼べるものかどうかは別にして、 あの一件で桐乃を怒らせてしまい、それ以来まともに会話をしていない。 もちろん、食事は一緒にするし、いつもと変わらないのだが、未だ二人きりになってはいなかった。 ところが、今日親父とお袋が不在のため、家には俺と桐乃の二人だけとなる。 ……あいつ、部屋に引きこもっててくんねーかな……。 「……ただいま。」 帰宅を告げる俺の声に反応はない。 まぁ、いつものことだがな。 うだうだ考えたって仕方ねぇ。あいつだって俺と顔を合わせるのは嫌だろう。きっと部屋に引きこもってるさ。 それにしても、暑いな……。麦茶で喉を潤してから二階へ上がるとしよう。 台所へ向かおうとリビングのドアを開けると、ひんやりとした空気が俺を包み込む。 お、エアコンついてるのか?……ということは―――桐乃がソファーで雑誌を読んでいた……。 ……俺はバカか?そのままリビングを素通りして部屋に向かえば良かったではないか。 桐乃がいるかもしれないくらい、想定の範囲内だったはずだ。 そんな可能性も頭から消えてしまう位、今日は暑かったんだな……たぶん。 ドアを開けてしまった以上、そのまま閉めるのも不自然なので、とりあえず麦茶を飲みに行くことにする。 何事も起きなければ良し。もし桐乃の逆鱗に触れてしまっても、その仕打ちを甘んじて受けてやるさ。 俺は、覚悟を決め、桐乃と目が合わないよう冷静さを保ちつつ冷蔵庫へと向かった。 ソファーに座っている桐乃には目もくれず、台所一点に気持ちを集中させ、麦茶を目指す。 危なげなく桐乃の横をすり抜け、冷蔵庫に辿り着いた。が、まだ油断は出来ない。 冷蔵庫をそっと開け、中から麦茶のパックを、食器棚からグラスを取り出す。よーし、いい感じだ。 後は麦茶を注いで飲み干すだけだ。早く麦茶にありつきたいぜ。 ゆっくりとグラスに麦茶を注いでいく。なみなみと注いだその時―――。 「……ねぇ。」 桐乃に声を掛けられた……。ですよねー。あんなことがあったのに桐乃が何も言ってこないわけがなかった。 ……しょうがねぇ。とりあえず話を聞いてやるか。 「ん?なんだ?」 「こないだのアレ。一体どう責任取ってくれるつもり?」 「こないだのアレ?」 用件は大体察しはついているが、少しとぼけてみる。 「……何とぼけちゃってるワケ?あたしを……お、お姫様だっこしたでしょ!?」 ……もう逃げられそうにないな。さっさと謝って楽になるとするか。 「あの時はすまなかった!勘違いとはいえ、みんなの前であんなことをしてしまって。もう二度としないから、どうか許してくれ!」 俺は伝家の宝刀“土下座”をしようとしたのだが……、 「はぁ!?話は最後まで聞きなさいよね!……アレ……もっかいしてよ。」 「……アレ?……とは?」 「だ~か~ら!お、お姫様だっこ……、もう一回してって言ってんの!」 は?なに言ってんのこいつ? 「お、おまえ、あの時あんなに嫌がってたじゃねーか!」 「あの時はみんなも見てたし?いきなりだったし?……ちょ、ちょっと恥ずかしかったってゆーか……。」 「だ、だからって、な、なんでもう一回するって話になるんだよ?」 「あんたね、女の子にとってお姫様だっこっていうのは憧れなの!それを……あんな形で……。 あんたはね、あたしのお姫様だっこバージンを奪ったの!わかる?!」 「ちょ!まて!その言い方は誤解を招くだろ!」 「……と、とにかく!あたしはちゃんとしたお姫様だっこを経験したいの!あんたには一度されちゃったワケだし? 一度も二度も同じだから、今度はちゃんとしたお姫様だっこしなさいよね!」 道理が通っているのかいないのかサッパリだが、俺と桐乃は兄妹だ。お姫様だっこなんて普通ありえねーし。 「出来るわけねーだろ!」 「なにあんた、シスコンのくせに妹の言うことが聞けないっての?あ……そっか。 あんたに頼みごとするときは可愛く言ったほうがいいんだっけ? しょうがないな~。じゃ期待に応えてあげるからちょっとこっち来て。」 こいつ、「妹」ってだけで何でも俺が言うことを聞くとでも思ってるのか? 「可愛く」?また、あのエロゲーを買いに行かせたときみたいに「お願~い」をやるつもりだな?もうあの技は通用しないぜ? ……まぁ確かに可愛かったのは間違いない。お姫様だっこをするつもりは毛頭ないが、「お願~い」のあの桐乃はもう一度見たいな。 しょうがねぇ。言われた通りそっちに行ってやんよ。 「……じゃあここ、座って。」 桐乃は持っていた雑誌をテーブルの上に置き、ソファーの左側に寄る。右側にスペースを作り、ポンポンとそこを叩いた。 さっきは桐乃を見ないようにしていたため気付かなかったのだが、よく見ると、とんでもない格好をしてやがるなこいつ……。 上は真っ白で無地のシンプルなキャミソール、下はデニムのホットパンツときたもんだ。 髪は夏らしく後ろで一つに縛っている。いわゆるポニーテールってヤツだ。 肩と背中の露出度が高いせいか、うなじが妙に色っぽい。 程よい太さでスラリと長く伸びた張りのある太ももは、透明感があり、スベスベしていそうで思わず触りたくなってくる。 上着がシンプルゆえに強調されてしまう胸元も、身体全体のラインとのバランスが取れていてとても良い感じだ。 こういう服装を着こなしてしまうあたり、さすが読者モデルといったところか。 俺の身近で、この格好が似合う奴ランキングをつけるとすれば、おそらく桐乃が一番だろう。 麻奈実や黒猫は論外、あやせは……いい線いくだろうが、桐乃の比ではないな。 ……ん?まてよ……。沙織なら……あるいは……。 「……ちょっとあんた……。なんかエロい事考えてない?」 「べ、別に考えてねーよ!」 どうして女ってのは、こうも鋭いのかねぇ……。 「だったら早く座んなさいよ。ほら!」 「……ほらってなぁ……。そんな格好をしているおまえの横に座れるわけねーだろ! いくら家の中だからってそんな露出度の高い服―――。」 「やっぱエロい事考えてんじゃん。スケベ!変態!! ケド、あんたシスコンだし?それも仕方ないか。とにかく早く座ってよ。 せっかく可愛く頼み事してあげるって言ってんだしさ。聞いてくれたら特別サービスで あんたの大好きな『ありがとね、兄貴』をやってあげてもいいよ?」 ……ほう、そいつは魅力的だな……。って!なに考えてんだ俺は!? だが、これ以上のやり取りは不毛だな。とりあえず座ってやるか……。別に『ありがとね、兄貴』をやって欲しいわけじゃねぇよ? 「しゃーねーな……。ほらよ。」 俺は桐乃の隣に浅く腰掛ける。 「……………………。」 「……………………。」 ……あれ?どうしたんだ桐乃は?何も言ってこねえな……。 と思っていたら、突然斜め後方から両手を俺の左肩の上に乗せ、身体を伸ばし顔を俺の耳に近付け囁いた。 「…………だっこ……………………して?」 振り返ると一瞬俺と目が合ったが、照れくさそうに下を向く。 ……なんだこの可愛い生き物は?こんなの俺の妹じゃねぇ。妹じゃないと分かれば、お姫様だっこの一つや二つ朝飯前だぜ。 「よし。わかった。」 俺は立ち上がり、桐乃の方へ向き直る。 「じゃあいくぞ。」 「…………うん。」 桐乃は身体を横向きにして、やや仰向けに寝そべる様に俺を待つ。 俺は少し屈み、桐乃の背中に左腕を、膝の裏に右手を入れて持ち上げた。 ……以外と軽いな……。 この間は桐乃が暴れたため、もっと重く感じたんだがな。それもすぐに下ろしてしまったし。 今日は素直に持ち上げられようと大人しくしてくれているので力が入れやすいといったところか。 などと冷静に分析をしていたのも束の間、俺は激しい後悔の念にかられていた。 ……こ…これは……。思っていた以上に恥ずかしいぞ……。 と、とにかく顔が近い。しっかりと目を開けてる桐乃の顔をこんなに至近距離で見るのは初めてだ。 薄く施された化粧にあどけなさを感じさせる。 整った顔してるな……。少し恥ずかしそうに俺の目を見つめている。 ……めちゃくちゃ可愛いじゃねえか。くそっ! 桐乃と目を合わせるのに耐えられなくなった俺は、視線を少し下に逸らしたのだが―――。 ……ここの描写は割愛させていただく。俺も一瞬しか見てないしな! だが、我が妹様はその一瞬を見逃さなかった。 「ちょ!あんたどこ見てんの!?エッチ!!それにそのやらしい手つき、どうにかなんないワケ!?」 「しょうがねーだろ!不可抗力だ!」 右腕は太ももとふくらはぎに挟まれているものの、右手で太ももを掴まなければ支える事ができない。 左手も同様に桐乃の右の二の腕を掴んでいる。 なんで今日に限ってその服装なんだよ!そんな格好でお姫様だっこしたら地肌に触れるしかないだろ! 俺はいたたまれなくなって、 「……もういいだろ?下ろすぞ……。」 と任務を終了しようとしたのだが……、 「ま、まって!せっかくだからさ、あたしの部屋まで連れてってよ。」 「……まだ続くんすか?これ。」 「あったりまえじゃん。この前あたしを辱めた責任とってもらうんだから。」 こいつ、俺を下僕のように扱って優越感に浸ろうって腹だな? さっきの恥ずかしそうな目つきも、俺をからかおうとしてたに違いない。 だが、確かにあの時悪かったのは俺だから、素直に従うしかないか……。 そうと決まれば、さっさと終わらせてしまおう。 「部屋までだからな!」 と、小走りでリビングを出ようとした瞬間、入り口のところでつまづいてしまった。 危うく桐乃を投げ出しそうになったが、桐乃が俺の首に両腕を巻き付けてしがみついてくれたおかげでなんとか事なきを得た。 …………事なきを得た……?いや……むしろ状況は悪化した。 桐乃は俺に抱きつく形になって顔を俺の胸にうずめている。 「だ、大丈夫か?」 「……………………。」 「一旦下ろすぞ。」 「大丈夫!…………だから……。」 桐乃は俺にしがみついたまま答える。 「いや……でも……この体勢は……。」 「うっさい!大丈夫っつってんの!早くあたしの部屋に連れてけ!」 こいつ必死に怒りを堪えてるんだな……。自分で言い出した手前、引くに引けなくなって……。本当に頑固なヤツだぜ。 だが実は俺、今桐乃に顔を上げられなくて良かったと思っている。だって今の俺の顔、多分真っ赤だ。 こんな顔見られたらまた「なに欲情してんの?キモ。」とか言われるに決まってる。 しかし今の体勢はマジヤバい。桐乃の髪の毛が俺の顔に触れている。……なんかスゲーいい匂いするんですけど。 心臓がバクバクいってやがる……。このままでは俺の身が持たん。とっとと任務を終わらせてしまわねば。 さっきの事もあるし、階段を一段一段慎重に上る。しかし、ここに来て腕が痺れてきやがった。暑さのせいもあるだろう。 エアコンの効いていたリビングとは違い、階段は暑い。とにかく暑い。桐乃を掴む手も汗でヌルヌル滑り出す。 何度か桐乃を抱え直し、階段を上りきったころには、もう既に“お姫様だっこ”とはほど遠い体勢になっていた。 首に巻きつく腕はさらに深く、桐乃と俺の顔は擦れ合い、頬擦り状態になっている。 汗で滑る手は、いつしか滑らない場所を求めて……弾力のあるお尻を両手で抱えていた。 ……なんだこれ?天国か?地獄か?俺の脳みそは沸騰寸前である。 ……それにしても桐乃のヤツさっきから一言もしゃべらねーぞ?大丈夫か?まさか熱中症じゃないだろうな……。 って俺もヤバそうだ……。と、とにかく俺が倒れる前に部屋に連れてかねーと……。 フラフラになりながらも、桐乃の部屋の前まで辿り着いた。なんとかドアを開け、桐乃をベッドの上にそっと下ろす。 ……つもりだったのだが、桐乃にしがみつかれたままなので、俺も一緒にベッドの上に倒れ込む。 何なんだろうなこの状況……。あやせに見られたら確実に殺されるな……、俺。 つーかそれどころじゃねぇ!桐乃の安否の確認が優先だ! 「おい!桐乃!」 「……ふぇ?」 ようやく桐乃は俺の首に巻きつけている腕をほどいてくれた。 ヤベ……こいつ顔真っ赤じゃねーか。汗びっしょりだし……。 「大丈夫か?」 「……ん……大丈夫……。」 「おまえの部屋だぞ。わかるか?」 「……うん……。あ…ありがとね、兄貴。」 そう言い残すと、桐乃はゆっくりと目を閉じていった。 ヤベぇ!!マジで熱中症かもしんねぇ!! 俺は火照りきった脳みその中から、このあいだテレビでやっていた熱中症患者への応急処置の内容を搾り出す。 たしか衣服を緩めるってのがあったな。背後にまわる時間が惜しいので、 そのまま正面から背中に手を回し、ブラのホックを外す。あとは……ズボンのボタンだな!と下のボタンに手をかけたその時―――。 ビッターーーーーーン!!!! 「いってぇな!!なにすんだよ!!」 「それはこっちの台詞!!ちょっとあんた!!いったい何やってんの!!!!」 「え?いや、おまえが顔真っ赤にして、急に目を閉じたりするから―――」 「だからって、そこまでしていいって言ってない!そういうのは順番ってもんがあるでしょ!いきなりとかありえないから!!」 「俺の知ってる知識だと―――」 「うっさい!うっさい!うっさい!!とっとと出てけ!!この変態!!強姦魔!!!!」 ドコォォォオオオ!! バタン!! いててて……。くそぅ。なんなんだ一体……。でもまぁ、あの様子なら大丈夫だろ。何事もなくてよかったぜ。 それにしても喉がカラカラだ。あ…そういえば台所に麦茶置きっぱなしだったな。とりあえず、麦茶を飲みに行くか……。 そして俺は台所へ向かう。俺がしでかした事の重大さに気付くのは、ぬるくなった麦茶を飲み干した後だった。 ~終~ オリジナルサイズ
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ローゼンメイデン百合スレまとめ@wikiへきやがったですね! ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールですっ! このページは自由に編集することができるですよぉ。 「え?何するですか!やめるですよ!そんなとこ……、蒼星石ぃ!」 *・゜゚・* .。..。. *・゜現行スレ゚・* .。..。. *・゜゚・* ニュー速VIP ローゼンメイデンで百合 VIP過去スレ一覧(過去ログ倉庫) パー速 ローゼンメイデン百合アーノ パー速詰所 第2世界 更新SS 2010/11/28 連作長編 ero 甘い悪魔の囁き 第十一話 後編 読み切り作品 S and B 銀×紅 賽は投げられた 銀×翠 トモダチドウシ? 銀×翠 こんな日もある 銀×紅 心地いい時間 翠×紅 今はまだ、このままで 翠×紅 短編 短編 銀×金 短編 銀×雪華 短編 翠×紅 短編 雛×翠 イラスト 銀×紅 他 ┌──┐ i二ニニ二i i´ノノノヽ))) Wリ゚ -゚ノリ <皆で仲良く ミ ⊂)_介」ミノ ┠レヽ__〉 ≡ ┷┷ _∩ ⊂,イ介 」 )ミ <使うんだよ! 〈__ハ__〉二i ≡≡≡≡〈_/ ヘ_〉┘ ┴┴ ┴┴
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868 :LR変更議論中@自治スレ:2012/07/17(火) 19 41 36.88 ID idvVo+YI0 むしろ自分の娘に対しての反応がヤバそうだな… ろり優乃「ぅうう…」 京介「優乃、やっぱりビキニはまだ早いんじゃないか?」 桐乃「写真を撮っておこう」 ろり涼介「ホントだ、おまえガキのくせにオトナ水着着てるじゃん」 ろり優乃「あ、あんま見ないでよ」「写真を撮っておこう」 ろり涼介「恥ずかしいのになんでそんなの付けてきたんだ?」 ろり優乃「……から」 ろり涼介「え?」 ろり優乃「か、かわいいでs桐乃「ふひひーw写真を撮っておこうw!」 京介・涼介・優乃「」 ----------
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聖バレンタインデーの虐殺:172スレ目268/小ネタ:2015/02/14(土) 2chへのリンク
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730 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/10/31(月) 14 04 03.36 ID 6EyLCvYi0 SSトクベツな悪戯 ────トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ! 「おっかしいなあ。どこいったんだろ……。ねえ、京介もちゃんと探してる?」 振り返ると、桐乃は俺にケツを向けてベッドの下を覗き込んでいる所だった。 「……お、お前に言われなくても探してるって」 眼前で軽く左右に揺れるブツを名残惜しみながら、俺は壁際のタンスへと向き直る。 部屋の中だし楽勝だと軽く考えていたんだがな……一体どこに行きやがったんだ? 俺はつい一時間ほど前に呼び出され、桐乃の部屋に来ている。理由はいつもの兄妹プレイだ。 そこのお前! 勘違いするんじゃねえぞ。単に妹モノエロゲーを兄妹でやってただけの話だ。 ──その時点で何か間違ってるんじゃないか、ってツッコミは無しな。 今回のゲームは兄貴が扮する素人マネージャーが妹をアイドル声優に仕立て上げるべく奮闘 するって内容なんだが──妙に既視感を感じるが、気のせいか──面白い機能が付いてるんだ。 このゲームはリアル日付に連動してイベントが発生するらしい。つまりその感動を分かち 合いたいと言う名目で俺が呼び出されたって寸法だ。 「き、京介もいつかリアルでやるハメになるかもしんないし、予行練習する必要があるの」 なんて言われて来たんだが、俺には正直ピンとこねえ。つか今日はアレ──ハロウィンじゃ ねえか。相手が子供ってんなら分かるが、桐乃は俺に何をやれってんだ? まあ、そんなこんなで一緒にプレイしてたんだが……途中でトラブルが発生しちまった。 さっきから桐乃が派手に動き回るもんだから、勢いで机の端に置いていたキーホルダーを 下に落としてしちまったんだ。で、それがどこを見渡しても見つからねえ。 かぼりんってカボチャの萌えキャラキーホルダーで、限定版の特典アイテムって事もあって 無くしたままだと、桐乃としては納得がいかないらしい。その辺の心情は同じアイテムを収集 してる奴らにならきっと分かってもらえるんじゃねえか? 『トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!』 ディスプレイ画面には、カボチャをかぶった主人公が妹に襲いかかるシーンが表示されて いる。ハートが散りばめられたカボチャがとてもシュールだが、桐乃いわく「辛い業界で身も 心も疲れ果てた妹を奮起させる為の兄の思いやりが感じられる」らしい。兄妹の絆を心と体で 感じると言う名イベントだと絶賛しているが──どう見積もっても俺には変態が襲いかかって いる様にしか見えねえ。 『お、お兄ちゃん!? ダ、ダメだよ。あたし達は兄妹なんだから』 うお!? 勝手に進んでやがる──って、こいつは自動で台詞が進むんだっけな。 しかし早く探さねえと……名シーンを見逃したとか言って桐乃まで落ち込んじまうな。 桐乃に視線をやると、ベッドの下を探っていた手が止まっている。顔が僅かにパソコンへと 向いている所を見ると、ゲームが気になって仕方がない様にも思える。 「桐乃、先にゲーム進めちまうか? それから探してもいいだろ」 「ダメ! あれがないと……と、とにかく探して!」 ゲームの進行が気になってるらしく、桐乃は探しながらもチラチラと横目で画面を見ている。 ──ったく、変な所で几帳面っつかなんつか。 そんな桐乃に呆れつつも好ましい感情を感じる。 桐乃の考えが全て分かる訳じゃねえが……とりあえず片っぱしから探すか。最悪イベントは 見直せばいいだけだしな。 『トリック・オア・トリート! お菓子をくれないキミには──悪戯決定だ!』 探している間もイベントは進んでいる様だ。視線をディスプレイに向けると、変態カボチャ 男(主人公)が妹へにじり寄っている。あと数シーン進めば妹は変態の毒牙にかかる事だろう。 このまま行くと──いいタイミングで気まずいシーン突入じゃねえかこの野郎!? 「こっちは無いなあ。京介そっちは────キャ!?」 「──っあぶねえ!」 俺の方へ歩き出そうとして、何かに躓いた桐乃。 桐乃の体を受けとめようとして、同じく何かに足を取られ盛大に仰向けに倒れる俺。 そんな俺の視線には倒れこんでくる桐乃の姿がスローモーションの如く感じられ──。 ────チュ。 『ウェッヘッヘッヘ──うおお!?』 『やだっ お兄ちゃ──!?』 『────チュ』 『──トリック・オア・トリート! お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ! 甘くて酸っぱい二人にしか使えない最高の悪戯さ!』 その時──ディスプレイ以外の何処かから、声が聞こえた気がした。 -------------
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441 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/22(日) 15 43 01.49 ID 73O86J7j0 少し怒ったような、恥ずかしそうな、そんな顔で 「なにニヤついてんの・・・・・・キモ」 と桐乃は静かに言った。 何いってやがる、お前だって笑う寸前じゃねーか。必死で隠したって頬が緩んでるつーの。 「いちいち言わなくてもいいんだろ?」 キッと睨み付けてくるが口元がそれじゃ迫力もなにもあったもんじゃない。 構わず何度も繰り返すうちにとうとう桐乃が笑い始めやがった、笑うタイミングか? 失礼なやつだ。 もちろん笑われたぐらいでやめてやったりはしない。 夕日がまぶしい。 顔から火が出るように熱い。心臓の鼓動が煩くてなにも聞こえない。頬が筋肉痛のように痛い。 笑いすぎて顔が痛いなんてのは何年ぶりだろうか。 桐乃は 無理! 無理! 限界! もう降参! ってな感じでフラフラしながら部屋に戻っていった。 「・・・・・・やべーなんかすげえ楽しかった」 本当にヤバイ感想だよ。普通の兄妹ならこうはなるまい。もし彼氏彼女なら・・・・・・もっとならねーかW。 なんにせよもうすぐお袋達も帰ってくる。顔でもあらって頭を冷やさないとな。 ――1時間ほど前―― 「ああ! もうやめやめ!」 受験勉強ってやつは我慢大会だな。 本当にそれが身になったら確かめることが出来るのは当分先のまま自分が出来ない部分をひたすら探して穴埋めしていくって感じだ。 ――あらかたつぶした大量のプチプチ(お菓子に入っている緩衝材ね)につぶしモレがないかをチェックするような感覚―― 毎日理解度やら応用力やらが数値化されてパラメータ表示でもされりゃいいとは思わないか? 反応してくれない相手に同じ姿勢を保って努力するってことは本当に難しい。 リビングの扉を開けると例の如く我が妹が携帯片手にソファに踏ん反り返っていた。 タオル生地みたいな超短い短パンをはいてスラリとした足を放り出している。薄手だが吸水性のよさそうなキャミの上からペラいパーカーのようなものを羽織って――というより肩丸出しで腕だけ通してる感じか。暑いなら脱げばいいのに。 まーあれだ。もはや毎度の光景、目が吸い寄せられるのにも慣れたってもんだ。肩紐がやたら細いけどまさかノーブラ? (あ、ヤベ・・・・・・) 一瞬目があってドキリとする。女って男の視線に敏感だよな。 麦茶を飲んですぐに部屋に戻れば良かっただけの話なんだが、もう一つのソファーで粗方読み終わった雑誌を読み直すことにした。 無論深い意味も浅い意味もないぞ? 特に危機感もない状態で受験勉強を一日やってりゃわかるだろうが、一息ついたら中々再開するのは難しいんだよ。 そうじゃないか? 人生の先輩諸君よ。もしもいるなら後輩達は覚えとけよ、何事もぶっ続けでやるより休み休みやるほうが逆に難易度が高いんだ。昔から言うだろ? 『デカいエンジンは動き出すまでが大変なんだ』 ってさ。え? 言わない? 「んー、へー、そーなんだ」 電話の会話ってのはどうしてこう気になるんだろうね。相手の分のセリフが聞こえない上に桐乃はほとんど聞き役に徹していて どんなヤツが話しているか検討もつかない。しかし随分おしゃべりなヤツもいるもんだ。あやせあたりがよからぬことを吹聴してなきゃいいが・・・・・・ 桐乃はチラリとこちらを見ると電話を中断もせずゆっくりと立ち上がりこちらのソファーに近づいてくる。 あれ? なんか怒らせたか? なんてビビっていると、そのまま静かに俺の横に座ってきた。 尚、先ほど迄桐乃が座っていたソファーより狭い。 「な、なんだよ、あっちに」 と言いかけると桐乃は声には出さず口の形だけで (で ん わ ちゅ う) と、さも当然のように主張してきた。殆ど密着状態で右半身がやたら熱い。 腕も下手に動かせないから漫画も読みにくいったらないし、なにより気が散って頭にはいらない。 妹相手になにを緊張してるんだって? ここ一年の俺たちの軌跡をしらない奴ならまあそう思うだろうな、なんとも説明しにくいがこいつは妹であって妹じゃないんだよ、勿論赤城じゃあるまいし妹つかまえて天使だなんて事は言わないが…… じゃあ天使じゃないの?っていわれたら返答に困る。 そんな事を考えながらオタオタしていると、桐乃はさらに密着してきて、俺を背もたれみたいにしてきやがった。 (お、おい) 桐乃に顔を向けながら僅かに威厳を込めて(小声なのが情けないが)講義すると、ん? なに? と言わんばかりにコチラに振り向き目をパチクリさせてやがる。 顔が近いんだよ! もうちょっとで当たるところだったろうが! あぁぁぁもぅ無防備過ぎんだよこのバカ! 俺はちょっと大げさに上体をそらして距離をとることしか出来なかった。 ……もう少し顔寄せてから同じ事をしたら桐乃は同じように振り向くのだろうか、そしたら事故が起こるわけだ。兄妹でも事故なら仕方ないよな。だってワザとじゃねーもん、多少位置を調整したってそれは…… ――その時桐乃は『どんな顔』をするのだろうか―― おっと俺としたことが思考ループに落ち入ったぜ、慌てて目線をあげると、桐乃は唇に人差し指を当てて静寂をもとめていた。 なんだよその余裕の態度は、いつもならとっくにキレてね? なに意識しちゃってんの? シスコンきもっ(←可愛い)とか言ってくれたほうが気不味くないんだけど! 結局桐乃が超密着状態の間、俺が何をしていたかと言うと、妹の胸元やら足やら横顔やらをチラッチラみてた。 ええ、みていたんですよすいませんねぇ。 だってほら、あんた、あんなもん目の前にあったら見るでしょ!? 野球に興味なくてもイチローが目の前にいたらみるよね? アレだよアレ。 ほら、うちの妹の美少女具合って世界クラスなんでしょ? ほーら仕方ない。うん仕方ない。 まあ、待て。言っとくけどな、俺だって一年前まで妹萌えとかありえねー畑の人間だったよ? 本当だよ? でもこいつったらココ一年急に可愛くなりやがってさ、いや、前から顔だけは可愛かったんだけどよ。性格はそりゃもう最悪だったね。 都合のいい時ばっり「お願~い」なんて言ってくるしよ、目が合っただけで顔真っ赤にして怒るし、取材とかいってあちこち連れ回すし、いきなりアメリカなんぞに行っちまうし、兄に彼女が出来ても反対しないし、自分だけ我慢すればいいなんて生意気な事考えるし…… とにかく全く可愛げが無い。最悪『だった』なんて言ったが今だって『似たようなもん』だ。 俺だけドギマギしてこいつは平然としてやがる。実に面白くない。 桐乃が電話を終えた瞬間だったと思う。 「俺さ、お前の事好きかも」 口をついて出た言葉だった。多分対した意味はないんだろう、緊張もせず恐怖も無かった。 あぁ以前逆の事があったなそういえば、こいつは俺から好きだのなんだの言われると大層嫌がるから、もし動揺でもしたらあの時の桐乃のように笑ってやろう。「なんて言うとでも思ったかw」ってな。 あの時の俺のようにさぞ悔しがるだろうぜ。 「ハイ ハイ 知ってる知ってる~いちいち言わなくていいってば」 やれやれ、知ってるときたか。 何処までも可愛く無い妹だよ全く。俺がお前のことをどれだけ『好きじゃない』か、お前にわかるわけがないだろう? なにせ俺にだってわからないんだからな。 「あ~やっぱ撤回するわ」 「は? なにそれ、けっこうムカつくんですけど」 終始余裕だった妹がやっと表情を変えたので俺は少しうれしくなった。 この前から達観したみたいな顔しやがって、そんなんは俺が好きな桐乃じゃねーんだよ 「好きかも じゃないな」 桐乃の表情がさらに変化する。何かを期待した顔ってやつだ。いいねいいね。たまらないね だけどよ、この石頭にどんなセリフを言ったって無駄、そんなことも同時に感じていたんだ。 「桐乃」 だから俺は『どんな顔』をするか確かめてみることにした。 ――そして―― 何がおきたか把握できてないといった表情の桐乃の目を見てこう言った。 「俺さ、お前の事好きだわ」 少し怒ったような、恥ずかしそうな、目にいっぱい涙を浮かべたそれは俺が望んだ表情そのものだった。 そして、これは勘なのだが・・・・・・多分俺も似たような顔をしているに違いない。 ――END―― -------------
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384 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/05(火) 12 11 42.78 ID ibxkMve6O [1/3] 381 「桐乃」 「何よ? なんか用?」 「…………」 「なんか用かって聞いてるんですケド? 用ないならあたし部屋行くから」 「ちょっとこっちにきてくれ」 「何でよ?」 「いいから」 「何なのよ一体……ほら来てあげたわよ。で、何?」「後ろ向いてくれ」 「はいはい。これでいいの? ったく、アンタ一体なんのつも――ひゃあっ!?」 ムギュウー 「な、ななななななな!? あ、あ、あ、アンタ急に何を!? (な、なんであたしこいつに抱き締められてんの!?)」 「桐乃。お前って意外に華奢だよな」 「そ、そんなことどうでもいいでしょ!! 放しなさいyふぅんっ!!?」 「(クンカクンカ)」 「ち、ちょっと!? あんた人の髪にんくっ!?…顔うずめてハァン! な、何してんっ…!――っ!?」 「いや、お前の髪いい匂いするから」 「だ、だからって…ぁん! ふくっ! あっ、あっ、く、首はやめっ―!?」 「(クンカクンカ)」 「あ、あたしっんんんっ!! 首は弱い、からっ! お願い、やめふあぁあっっ!?」 「(スンスンクンカクンカ)」ムギュウ 「ぁふっ! あ、あ、や、やめ―っ!? ―っ! ―っ! (だ、だめ。もう、あたし……!)」 「(フーッ)」 「――――――っ!?!?!!!?」ビクンッ! クテリ 「(あ、やべぇ。つい夢中になっちまった!)あ? き、桐乃? どうした? 大丈夫か?」 「ハァ…ハァ…ハァ……。ア、アンタ……」 「な、なんでしょうか?」 「あ、後で……ハァ…ハァ…絶対に、おんなじ目に…あわせてやるから。 …ハァ…覚悟しときなさいよ……ハァ…ハァ…」 -------------